タワーマンションにどのようなイメージを持たれているでしょうか?
トレーニングジムや綺麗なエントランスなど、一軒家では不可能な設備が敷地内に備わっています。ややもすると一見ハイクウォリテイに思えるタワマンには隠されたデメリットがあります。
タワマン乱立から約20年が経とうとしてますが、一番大きなものは修繕費問題です。
不動産屋や営業マンは修繕費を低く見積もっている
修繕費とは入居者が管理組合を通して積み立てていくもの
・外壁、屋根、屋上などの改修工事
・エレベーターやエントランスなどの共有部分の補修・維持費用
・手すりなどのペンキ塗り替え費
・給排水管の取り換え工事費
・受水槽の取り換え工事費
・地震や台風などの天災による修繕費
・ジムやプールなどを維持するための修繕費
・床、集合ポスト、駐車場・駐輪場の修繕費
※武蔵小杉で起こった台風19号によるタワマンの被害も積み立て修繕費から賄われる
5年毎に国土交通省報告から報告されるマンション総合調査では2018年度全国平均の管理費は1万6千円になっている。また、積み立て修繕費は全国平均で1万3千円ということです。
住宅ローン以外に2万9千円が支払う必要がある。しかし、この統計はマンションの全国平均なのでタワーマンションとなると2万9千円では収まらない。というのも、プールやジムなどの無駄な共用部分や台風や地震修繕費などは通常のマンションより高額にななります。
台風や地震などの天災に関する修繕や維持の安全管理は建物が大きい分絶対に手を抜けない部分です。また、震災用に設置されている非常用発電機など、とにかくタワマンの維持管理にはお金が掛かる。
プールやジムなどはほとんど使わない人は余計な修繕費を他の人の為に払っているようなものでしょう。
一般的なマンションとタワマンの掛かる修繕費の違い
通常のマンションであれば修繕費といえば外壁工事がメインで行われる。一方、タワーマンションの場合給排水管やポンプ、エレベーターの修繕などが異様に高額になる。というのも高さがあるタワマンの排水管は非常に長くなる上にそれを繋いだり、補強したりするものもより強力でなくてはならない。
小規模マンションであれば、数億円で大規模修繕が出来るが、タワーマンションでは修繕だけで数十億掛かってくる。消防設備の入れ換えに数億円、エレベーターの修繕でも数十億円、震災時の為の非常用発電機も1台数千万~1億円など。。
タワマン初の大規模修繕工事が行われたその内容
埼玉県にある「エルザタワー55」で大規模修繕工事が2015年から2017年の約2年間で行われた。1998年に竣工されたこのタワーマンションは17年で第1回目の工事が行われたわけですね。
このタワーマンションは650戸の55階建てになり、掛かった修繕費は12億円になり、単純計算で12億÷650で一戸辺りの負担額が約185万円になる。
タワマンの修繕費の3割が仮説足場のコスト
通常のマンションからすれば、このコストの掛かり方は異様な数字とも言えます。このタワーマンションは仮説足場だけで3億円~4億円掛かった計算になります。ここは55階建てですが、現在はもっと高いタワーマンションが沢山出来ていますから、足場コストは、さらに高額になるでしょう。
タワマンの大量廃墟化が懸念されている
タワーマンションは非常に人気があります。実際に売ればすぐに数百の部屋が満室になると言います。最近は多少人気に陰りが見え始め空室も出ていると言われています。しかし、今現在でもタワマンが人気があるのは間違いなく良いイメージを持っている方は多いです。
不動産経済研究所の調査では2008年~2017年の10年間で341棟が建てられ、戸数では11万戸あるという。現在でも沢山のタワーマンションが沢山建てられています。
国土交通省では12年毎の大規模修繕が推奨されていて、遅くても15年で修繕を行わなくてはならないとされています。
タワマンの何が危惧されているのか
タワーマンションを建てるときにデベロッパー達が修繕費を安く見積もっている事が1つの理由です。これの何が問題かというと、いざ修繕するときに
「修繕費が全然足りない」
という事になります。
タワマン購入の属性が特殊である
タワーマンションを購入する人は居住目的の人と国内・外国人の投資目的の人に別れます。タワマンの場合投資目的の人が多くいることを頭に入れておかないといけません。これは、通常マンションにはない特性です。この特性が修繕の段階になると問題が噴出する。
投資目的でタワマンを購入したひとはあくまでも「投資」なので修繕費が高騰すれば
「俺は払わないよ」
という可能性が高いです。
投資目的の人はほとんどが最上階など資産価値が上がりやすい場所を購入しており、これに膨れ上がった修繕費を払う可能性は低いと考えた方が自然です。住んでないので愛着があるわけではありませんからね。感覚的には株取引と一緒で一番高いときに売りぬくという感覚でしょう。住んでいる人と投資目的の人の感覚がまったく異なることを考えれば、修繕費などの話し合いも折り合いがつくはずもありません。
タワマンは投資目的の購入者がかなり多い
この特性を考えればある意味タワマンの方向性を投資目的の富裕層に握られているという。というのも手放すタイミングを常に伺っているのが投資家なので、売りどきにこの人達が一気に手放したらどうなるか考えてみましょう。投資目的の購入者はたくさんいますから同じ時期に一斉に手放す可能性があります。
そうなれば、今まで満室だったタワーマンションが一気に歯抜け状態になります。
手放すタイミングはある程度予測できますが
・大規模修繕のタイミング(追加修繕費の話し合いなど)
・評判の悪化でこれ以上不動産価値が上がらないと思ったタイミング
評判の悪化はタワマン事態の致命的欠陥が現れた場合や、人気に陰りが出てくる前後に見切りをつける形で手放すでしょう。
タワーマンションの廃墟化はある時期から一気に進行する
投資目的の購入者が手放せば、そのタワマンは歯抜け状態になりますので、一人辺りの修繕費は負担が大きくなります。そこに住んでる方は修繕費が上がっても払い続けるでしょう。しかし、負担額によってはそれに耐えきれない世帯も出てくるでしょう。
一番苦しいのは憧れでタワマンを買ってしまった人
タワーマンションに対する憧れで購入した属性。つまり、ちょっと無理して買ってしまった方が一番厳しいかもしれません。富裕層のように簡単に手放せないですし、住み続けるには修繕費の追加にも耐えなければなりません。
生活費や子供の学費、毎月のローンに加え、管理費や修繕費などでギリギリという人も少なくはないでしょう。また、こういった生活は心理的負担も大きく、身動き取れなくなる可能性が高くなります。
総評
夢のタワーマンション生活が一転「ローン地獄」に陥らないように十分注意しなければなりません。何とか耐えしのげは良いですが。。
住宅ローン破綻者は毎年、増加の一途を辿っている現状から無理してタワーマンションを買う必要があるのか十分に考える必要があります。
「最悪を想定して購入を検討出来ているか!?」
これに尽きます!
給料が下がった場合どうするか?
自分が病気で倒れた場合どうするか?
ボーナスがなくなったらどうするか?
会社が倒産したらどうするか?
甘い見込みが自分を地獄に突き落とす一番の原因です。
そういった最悪を想定出来ないポジティブな人ならば、住宅ローン破綻者の情報は腐るほど転がっていますので、まずは他人事と思わず、自分と置き換えて考えて見ましょう。
デベロッパーの話というのは「売る」為に話をするので、「売れなく」なるような話はしないものです。
上記のようなリスクを洗いざらい話せばタワーマンション購入しなくなるから言わないだけです。
私が思うにはタワーマンションに対するイメージは良すぎるような気がします。ジムやプールに行きたければ近くのジムに通えば良いですし、敢えて同じ敷地内に設置する必要は全くないです。
ゆくゆくはそのような設備を自分達が維持費を負担しなければならないことを考えなければなりません。
憧れで購入した住宅やマンションによって住宅ローン破綻者が今後さらに増え続けると危惧しているのはこういった背景があるようです。