セブンイレブン本部は東大阪のセブンイレブン南大阪上小阪店に対し「クレームが多い」という理由で2019年12月末に契約を解除する意向を伝えたという。それだけでなく全国の1000店舗のFCオーナーに対し「契約解除」したという。
この店舗はメディアにも度々登場し、「人手不足」を理由に自主的に「営業時間短縮」を行ってきたあの店舗だ。
セブンイレブン側は365日24時間営業を原則としフランチャイズ契約違反として書面や直接改善を求めていましたが、オーナーは短縮営業を続けた他、元日休業の意向を示していたという。
優越順位はなくあくまでも対等な立場と主張していたセブンイレブン社長の言葉は何だったのかと疑問を感じる。
特に人手不足と悩んでいるフランチャイズオーナーに対して「能力がない」の一言で片付けるのはいかがなものか。。
フランチャイズオーナーに一国一城の主の夢を持たせ勧誘し、開業後は人手不足に苦しむオーナーを一方的に24時間365日営業を強要し、それに従わなければ契約解除といった流れからとてもじゃないが、「対等な立場」と言えたものではない。
そもそもコンビニオーナー契約というのは自分の裁量で何かを出来るといったものではなく、組み込まれた仕組みの中でオペレーション能力が問われる。
契約を交わした時点でオーナー側は圧倒的に不利と言えますし、一国のオーナーを夢見て高額な加盟金を払ってまでしたものが結局多くのものを失う結果になる。
お金はもちろん、家族や友人などの人間関係や若さややる気といった独立した当時のエネルギーといったものは萎んでしまってるかもしれませんし、メンタルが崩壊してしまう場合もあるでしょう。
気力も下がり肉体的にも疲れ、精神面まで悪影響を及ぼす事になります。こうなってしまうと後悔を募らす日々を送ることも考えられます。
「何であの時独立を考えたのだろう?」
「あの選択は間違っていた」
「独立さえしなければ家族や若さを失わずに済んだのに」
このような後悔の中、次の仕事の事や気持ちを切り替えて別の事業を行うなど考えられません。
早く閉めた場合は多額の借金が残る場合もありますし、逆に長く経営していた場合歳もとります。独立当時の体力はもうないかもしれません。
現実問題として厳しい状況のオーナーさんは少なくないでしょう。大きく報道はされてはいませんが、このような金銭的、肉体的、精神的にやられてしまい最悪の末路を辿る人もいます。
まずフランチャイズオーナーのコンビニ経営は見方によってはアルバイトでもやっていた方がまだましという事もあります。
多額の資金を投入し、その資金を回収するのに何年掛かることやら。。本部から契約解除されれば店は手放さなければなりませんし。そうです、自分の店にはなりません。
セブンイレブンのFCオーナーの平均月収が27万円だそうです
もちろん、それ以上に多く稼いでるオーナーもいますし、27万円もいかないオーナーもいます。あくまでも平均ですので。
ほぼ休みなく、昼も夜も関係なく疲弊するまで働き続けて得られる月収は27万円です。アルバイトが休めば自ら働かなければなりません。ゆっくり寝てる時間なんてないでしょう。
24時間365日営業のコンビニオーナーとはそういうものです。
数百万という多額の開業資金を掛けてオーナーになったのにも関わらず、契約解除で店も取り上げられ一体何が残るのか。また、何を得られたのか?何のために開業したのか。。
まぁ、経験値を上げられるとすればバイト管理や店舗運営のスキルといったところでしょうか?
あまりにもビジネスモデルとしては大きく開花する要素が少なすぎます。24時間365日、常に店をオペレーションしなければならない責任は非常に重いです。その責任の割にはそれに見合う報酬や旨味があるかと言えば、無いように思います。
ビジネスモデルとしてコンビニチェーンのフランチャイズオーナーは本部に搾取され続ける契約条件であり、負け戦に飛び込むようなもの。
今回、セブンイレブンで1000店舗契約解除されたオーナーはこれからどうするんでしょうか?
当然店は本部に持っていかれますからオーナーは別の働き口を見つけなければならないでしょう。
長い目で見ればセブンイレブンの呪縛から解放されたわけですから、自分のやりたいことが出来るとも言えます。資金的に厳しいオーナーはすぐに働き口を見つけなければならないでしょうね。
コンビニのオーナーになったという事は「入り口」から間違えてしまった、、と言えます。
本部に搾取され続け、働かされる業態に開業資金を払ってまで自らコンビニのオーナーになってくれるんですから、本部からすれば都合の良いビジネスモデルですよ。
これだけ搾取され続ける条件であればアルバイトでもやってた方がまだましです。アルバイトは開業資金もいらないですし、休みもあります。勤務時間以外は自由ですから。
コンビニオーナーになった人は何に魅力を感じて契約したのか?
単純にリスクを恐れるという事がある。新しく飲食店などを始めたとしたらお客さんが集まってまともに経営出来るまでに時間が掛かる。軌道に乗るまでは数ヶ月位は掛かるでしょうね。
そういった事を考えたらセブンイレブンのフランチャイズなら開店初日から客は入るし売り上げになる。もちろんお客さんはセブンイレブンだから入るわけです。最初から普通にお客さんが入るのは確かに魅力です。
お客さんが集まらない、集めるにはそれなりに色々考えなければならないし、当然努力の甲斐なくそのまま経営破綻という可能性もある。
初期段階のリスクを最小限に抑えたのがコンビニであり、セブンイレブンというネームバリューから安心して来店してくれます。なので、お客様が入らないという事はない。
その辺りのリスクを避けた結果、本部に吸い上げられるような契約条件にサインしてしまうわけである。
フランチャイズ契約というのは儲かるのは本部だけで店ではない
深夜営業を止めたいオーナーと24時間営業のブランドを守りたい本部側の対立が話題になりましたが、オーナーからすれば、深夜になれば売り上げが落ちる上に人件費があがるわけですから夜中は営業したくないという事は当然と感じます。
一方本部は人件費を負担しませんので店舗がどんなに大変でも関係ないと思っているのでしょう。本部からすれば何の負担もないがないですから少しでも売上をあげたいから反対するんです。
社員であれば法律に守られていますので、こんなことを強要していたら大問題になりますが、フランチャイズのオーナーは業務委託という形になります。契約によって提携されていますので契約書の内容がすべてになるわけです。この辺にフランチャイズの闇があるようです。
その契約書の内容は良く読めば本部に不利にならないような条件である場合がほとんどで、どのような状況でも、業務を滞りなく遂行しなくてはならない旨が書かれている場合が多いです。
フランチャイズオーナーのほとんどは何のいろはも持たず本部頼りの傾向があり、働いてるうちに圧倒的に本部有利な契約だった事に気付かされます。ここで気付くのは遅いのですが、多くのオーナーがこういった状況になっていきます。
勿論、オーナー側の不手際もあります。安易に契約書にサインしてしまった事や相手の言葉を鵜呑みにしてしまった事などありますが、一番大きい過失は相手がネームバリューのある大手企業だから大丈夫だろう。といった安易な考え方や何かに依存する形態を好んでしまった責任もあります。
視野が狭く、依存体質な人が独立すると失敗する傾向があります。ちょっと考えればわかります。コンビニは確かに便利ですが、これだけ飽和状態にある業界が右肩上がりに成長することは考えにくいという事を。ご近所でもコンビニがよく閉店してるはずです。その奴隷のように働かされ、搾取され続ける業界に自ら飛び込んでしまった事実はあるのですから。残念ですが明らかに選択ミスです。
オーナーの犠牲の上に成り立っているコンビニフランチャイズの崩壊
しかし、非人道的な本部のやり方に問題がありますね。こういったどっちかが非常に旨味があり、どちらかの犠牲の上に成り立つビジネスモデルは淘汰されていくでしょう。
コンビニが儲かるのは店ではなく本部で全国にあるFCの売上で儲かっているのです。
コンビニが本当に儲かるのであればFCではなく直営にするはずですから。そういった疑問も持たず独立するのは非常に危険です。
世の中の流れはAIの時代になっていきます。今後無人のコンビニも登場するでしょう。
時代の大きなうねりによって状況は一変するはずです。
いずれにしても地に足を付けて生きていかなければなりません。ヘタを打っても立ち止まる訳にはいかない。厳しいですがそれが現実です。反省すべきところは反省して前に進むしかないでしょう。
どんなに厳しい状況になっても這い上がる人は這い上がりますからね。
逆境こそがその人の本質が出ると言います。