同一労働同一賃金の本当の意味とは?
大手企業は2020年4月~
中小企業は2021年4月~

同一労働同一賃金という法律が改正されることになりましたが、同一労働同一賃金とはどのようなものなのか説明していきたいと思います。

 

大きめの会社になればなるほど社員の他にパート、派遣、アルバイトなどを多数抱えています。中小で社員しかいないところは今回の法律改正は影響は受けません。しかし、社員以外の従業員が沢山いればいるほど会社に与える影響は大きいでしょう。

 

同じ会社で働いているのに社員というだけで給料が違うのはおかしいという事で同一賃金つまり同じ給料にしようという事が今回の同一労働同一賃金という事になります。

 

同一労働同一賃金のガイドラインとは

 

 

派遣業界というのは5兆円規模と言われています。そして尚且つ17%平均で成長を続けています。


派遣社員は今までどんなに能力があろうと、会社に貢献しようと経験が長かろうと簡単には時給が上がらないシステムでした。

 

同一労働同一賃金のガイドラインによると能力が上がればそれに見合った賃金を支払いなさいよ。という事なので派遣社員にとっては今までよりも待遇が良くなる方向に向かうでしょう。

 

正社員というのはかなり法律で守られていて頑張りに応じた昇給やボーナスはたまたポストが与えられてきたわけですが、派遣社員にもそれと同等の待遇を与えなさいという法律になります。会社もそれに準拠しないといけなくなります。

 

今まではただ派遣社員というだけで冷遇されていたわけですが、これからは社員との格差が埋まる法律と考えて良いでしょう。

 

会社にとって使い勝手が良かった派遣社員は今後は能力によって高い給料が期待できる。

 

派遣会社と派遣先の会社でどのような変化があるのか?

 

今まで仮に1人派遣先に人材を送り込んだとして、

 

派遣社員の時給が1200円だったとします。

 

仕事の能力が上がったから時給を上げなくてはいけなくなります。

 

その場合、派遣会社と派遣先の会社が話し合いをしなくてはならなくなります。

 

今までは派遣会社が2000円貰っていて、800円を差し引いた1200円を派遣社員に払っていたわけです。その際に差し引いた800円が会社の利益になります。

利益を取るかわりに仕事先を紹介しますよというのがこれまでの派遣会社でした。

 

しかし、何年も働いて経験値が上がっても入社してから仕事がだいぶ出来るようになってからも時給が上がる事がなかったのが派遣社員の待遇でした。つまり入社時1200円であったなら3年経っても1200円のままです。

 

これが時給1300円に能力が上がった派遣社員に払うとなると、派遣する会社に交渉しなければならなくなるでしょう。この場合、派遣先がOKを出せばすんなりいきますが、NOと言った場合ややこしい話になります。

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派遣会社はあらかじめ会社の利益を計上した上で派遣先に交渉しますが、場合によっては派遣会社が利益を削って派遣社員の時給を上げなくてはならなくなる場合もありそうです。

 

大手の派遣会社と中小零細の派遣会社で大きい差が生まれる!?

 

 

この同一労働同一賃金のスタートが大手が今年の4月から始まります。大手の場合、多くの人材を送り込んでいる場合がほとんどですからスキルの上がった派遣社員の交渉をまとめて行う可能性があるでしょう。

 

大手の派遣会社は資金力もありますし、より多くの人材を確保していますから派遣先と交渉しやすいでしょう。

 

仮に時給アップを拒めば育った人材を失ないますし、その会社に同じ派遣会社から多くの派遣社員を雇っていた場合、その会社から大量に撤退される可能性もあるでしょう。

 

そういった意味で大手の派遣会社は待遇を良くすることで人材を繋ぎ止める事にもなりますから悪い法改正ではないかもしれません。

 

一方、中小零細の派遣会社の場合はどうでしょう?

 

大手よりも1年先の2021年4月からとガイドラインで定められていますから、この1年が正念場となりそうです。派遣会社の中では同一労働同一賃金という法改正によって撤退する会社も出てくるかもしれません。

 

「時給を上げなきゃいけないんだったら契約打ち切りで良いよ」

 

と派遣元に言われたら派遣会社は1つの派遣先を失うことになりますから、大変でしょう。

 

派遣社員から正社員登用の流れが増えてくるかも

 

 

派遣社員であっても正社員と同じような待遇にしなければならないガイドラインですのでそれに従わなくてはなりません。

 

しかし、現段階ではガイドラインに違反した場合の罰則規定も発表されてませんし、実際にスタートしていませんからこの辺りは憶測になってしまいますが、正社員と同じような待遇をするのであれば、いっそ正社員として雇い入れる流れというのも増えるのかなあと推測出来ます。

 

この場合、派遣会社は人材を失うことになりますからタダで渡す訳いきません。ですので、1人辺り20万~30万位の紹介料で手を打つという形も増える可能性があります。

 

総評

実際には同一労働同一賃金というのが適用されてからでないと何とも言えない部分が多くありますが、このように法改正が行われることが決まっていますから、派遣会社や派遣社員で働いている人は大きく影響があるでしょう。

 

ただ、大手の派遣会社はこの同一労働同一賃金という法律を守れても、中小零細は守りきれないのではないのかな。。と思ったりしています。

 

人材や派遣先の少ない零細企業は罰則規定がない限り守らない可能性がありますし、スキルを必要としない単純作業や期間だけ募集する短期の派遣先にシフトしていくのかな、と思ったりします。